
長男が小学生だったときのこと。
家庭科の宿題で、かんたんなリュックサックを作るという課題が出ました。
慣れない針と糸を手に、時間をかけてちくちく縫っていた息子。
でもその日はもう夜も遅くて、目もとろんとしていたので、
「最後の紐通しのところのまつり縫いは、ママがやっとくから寝なさい」
と声をかけました。
「まつり縫い」というのは、リュックの口の部分に紐を通すための小さな仕上げ。
ちょっとした箇所だけど、細かくて時間がかかるんです。
息子は「うん」と言って安心したように布を置き、布団に向かっていきました。
数日後の授業参観。
教室の壁には、子どもたちが作ったリュックがずらりと並べられていました。
その中に、息子の作品もちゃんとあって、なんだか胸がじんとしました。
「よくがんばったなあ」と思いながら近づいてみると…
作品の下に添えられた先生からのコメントが目に入ってきました。
「大変よくできました
紐通しの部分は、もう少し丁寧にまつりましょう」
……はい、それ、私がやったとこです😂
母の手仕事、しっかりバレてました。
雑さも丸ごと見抜かれてた。笑
でもそのリュックのほとんどは、息子が自分で丁寧に作ったもの。
針の持ち方も、玉どめも、アイロンも、自分で学んで、コツコツ完成させていたのです。
実はこの息子の“器用さ”、
大人になった今もちゃんと続いています。
細かい作業が得意で、ちょっとした修理や手先の工夫はお手のもの。
何かを組み立てたり、工具を使ったり、裁縫だってサッとこなす。
私が苦手だったことを、
息子は自分の力で自然に身につけていったんだなと思います。
🍀 あの頃の手仕事は、記憶の中で今も光ってる
あの日のまつり縫いは、
ちょっとだけズレて、ちょっとだけ曲がってたけど、
それでも、あたたかい時間だったなと今は思えます。
✍️ 読後のひと言
「ここはママがやっとくね」から生まれた、思いがけない未来。
仕上げは雑だったけど、思い出はちゃんときれいに縫い上がってる。
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