健康診断の現場で、私は毎日いろんな人のお腹まわりを測っています。
そう、いわゆる「腹囲測定係」です。
地味だけど、なぜかちょっとドラマのある持ち場。
ある日、いつものようにメジャーをくるりと回していたとき、
ひとりの受診者さんが、目をキラキラさせながらこう言いました。
「去年より5センチも減ってました!ありがとうございます!」
……いやいや、私、ただ測っただけなんですけど?
思わず笑ってしまいました。
でもその「ありがとう」、なんだかとってもあったかかったんです。
思い返せば、私自身も腹囲が96cmから82cmに減ったとき、
計ってくれた人に「ありがとう〜!」って言いたくなったっけ。
人は、頑張った自分を誰かに認めてほしくなるもの。
「すごいですね!」って声をかけてもらえるだけで、
喜びがじんわり、身体の奥からこみあげてくる。
それに、「どうやって痩せたんですか?」って聞くと、
皆さん、ちょっと照れながらも教えてくれるんです。
「夜のごはん抜き、地獄でしたよ〜」
「ウォーキング始めて、なんと3日でやめました!笑」
「推しが細すぎて、私も頑張らなきゃって」
そういうやりとりが、たまらなく人間らしくて。
ほんの数分の会話に、笑顔が生まれたり、
ちょっと元気が湧いてきたりするんです。
最近は、AIがなんでもやってくれる時代。
腹囲だって、将来的にはスキャンするだけで一瞬かもしれない。
でも——
「あなた、頑張ったんですね」って、笑顔で伝えるのは、AIにはできない。
一緒に笑って、拍手して、
その人の頑張りを一緒に喜ぶ。
そんな時間を、私はこれからも大事にしていきたい。
人の仕事には、数字じゃ測れないぬくもりがあるから。
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